第59号技術3分閲覧 44
発行 · 雑学書庫 別館
自撮りの顔が鏡で見るときと違って見えます
撮影中の画面では見慣れていた顔が、アルバムではどこか見慣れません。撮る瞬間と保存される瞬間の間に、何が変わるのでしょうか?
自撮りに違和感があるのは、顔がおかしく写っているからではなく、写真の左右が、普段鏡で見ている向きと逆だからです。私たちは毎日鏡の中の顔を見て、その姿を自分の顔として覚えています。だから、人から見える向きのまま写った写真のほうが、かえって見慣れなく感じられるのです。
撮るときと保存するとき
前面カメラの画面は、鏡のように左右を反転して映します。右手を上げると画面でも右側で手が上がるので、構図を決めやすいですよね。ところが、iPhoneとGalaxyは初期設定では保存時にこの反転を解除し、人から自分が見える向きで写真を残します。撮るときには気にならなかった顔が、アルバムでは不自然に感じられるのは、このためです。
ほかのカメラアプリは保存の仕方がそれぞれ違うため、同じ日に撮った自撮りでも、アプリによって向きが違うことがあります。
見慣れたほうが自分らしく感じます
人の顔は左右が完全に同じではないため、髪の分け目や口角、ほくろ一つでも位置が入れ替わると印象が変わります。1977年にアメリカで行われたある実験では、参加者は自分の顔写真のうち左右を反転したものをより好み、一緒に来た友人は反転していないものをより好みました。
よく見たものをより好きになるこの傾向を、心理学では「単純接触効果」と呼びます。それぞれが、よりよく見ている顔に親しみを感じたのです。
近づけすぎると
腕を少しだけ伸ばして30cmほどの距離で撮ると、レンズに近い鼻が実際より大きく写ります。2018年のアメリカの研究チームの計算では、1.5m離れて撮った写真より、鼻の幅が約30%広く見えました。自撮りの顔が見慣れなく感じられるのは、左右だけでなく、この距離も一因です。自撮り棒やタイマーを使ってスマートフォンを少し遠くに置けば、この差は小さくなります。
どちらが本当の顔でしょうか
鏡のほうが本当の自分の顔で、写真が間違っているという意味ではありません。どちらも同じ顔を違う向きから見た姿で、友人が知っている顔は写真のほうです。
鏡と同じ向きで残したければ、iPhoneでは設定のカメラで「前面カメラを左右反転」を、Galaxyではカメラ設定で「左右反転せずに自撮りを保存」をオンにすれば大丈夫です。すでに撮った写真は、写真アプリの編集で左右を反転できます。
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アルバムで違和感のある自撮りこそ、友人の目にはいつも見ているあなたの顔なのです。
まとめ・参考メモ · Mitaほか(1977)・Wardほか(2018). 自分の顔については左右を反転した写真を、友人は元の向きの写真をより好みました(標本は小さく、参加者は女性のみ)。鼻の幅の差はWardほか2018(JAMA Facial Plastic Surgery)の計算、設定名はApple・Samsungの公式案内に基づいています。
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