第30号暮らし3分閲覧 19
発行 · 雑学書庫 別館
ポケットから出したイヤホンのコードが、また絡まっています
きれいにしまったはずなのに、ポケットから出すたびにコードが絡まっています。
ポケットから出したイヤホンのコードが絡まっているのは、誰かが結んだからではありません。歩いている間に揺れたコードが何重にも重なり、その間をコードの端が出入りすることで結び目ができます。思ったより短い時間でも起こることです。
箱の中のひもの実験
2007年、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、ひもを箱に入れてぐるぐる回す実験を3,400回以上行いました。箱をわずか10秒回しただけでも、かなり複雑な結び目がよくでき、その形も百種類を超えました。中には、手でわざと結ぼうとしても難しいほど複雑な結び目もありました。
研究チームが観察した仕組みは、こういうものです。箱の中でひもが丸く巻かれ、何本分ものひもが並ぶと、ひもの端がそれらの上や下を無作為に行き来します。それが積み重なると、手で結んだような結び目になるのです。
短いほど絡まりやすいのでしょうか
コードは短いほど絡まりやすい、というのはよくある誤解です。実験では、46cmより短いひもには一度も結び目ができず、1.5mまでは長くなるほど結び目ができる確率が急激に上がりました。それより長くなると、50%前後で頭打ちになりました。
柔らかいひもほど絡まりやすく、硬いひもはあまり絡まりませんでした。1mあまりのイヤホンのコードは、細くて柔らかいため、絡まりやすい条件にぴったり当てはまります。コードが絡まるのを好んでいるわけではなく、長くて柔らかいほど、端が行き来するひもの部分が多くなるのです。
取り出す手が結び目を締めることも
ポケットの中でできた絡まりは、最初は緩い輪になっていることがよくあります。ところが、片方の端だけを持って勢いよく引っ張ると、輪同士が引き合い、固い結び目に締まってしまいます。
ほどくときは引っ張らず、絡まったかたまりを手のひらに載せ、輪を広げながら端を抜くほうが早くほどけます。端が通った道を逆にたどれば、たいていはほどけます。ねじれたまま何度も引っ張ると、コードの中の細い電線が一か所だけで折れ曲がり、切れてしまうこともあります。
絡まりにくいしまい方
結び目は、コードの端が重なったコードの間を出入りすることでできます。そこで、両端を一緒にクリップで留めたり、コードを指に緩く何回か巻いてから端を輪の間に挟んでおいたりすると、絡まる余地が少なくなります。
小さなケースに入れるのも役立ちます。実験でも、狭い箱の中でひもが壁に挟まってあまり転がらなくなると、結び目ができにくくなったからです。ポケットの中でコードが自由に転がり回れる空間を減らすことが大切です。
あわせて読みたい記事
イヤホンのコードは、揺れている間に端が重なったコードの間を出入りすることで絡まります。短いコードより、1mあまりの柔らかいコードのほうが、むしろ絡まりやすいのです。
まとめ・参考メモ · Raymer・Smith 2007, PNAS. ひもを箱に入れて回し、結び目ができる確率を長さ・硬さ・時間ごとに測った実験です。ポケットの中は箱とは条件が異なるため、数値は参考として見てください。
確認クイズ