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発行 · 雑学書庫 別館
時計の広告の針は、なぜいつも10時10分なのでしょう?
ブランド名を隠さず、笑顔のように見える位置なんです
時計の広告や売り場の陳列を見ると、針がほとんど10時10分あたりで止まっています。偶然ではなく、業界が長く使ってきた約束事のような設定です。針がV字に開くと文字盤の大事な場所を隠さず、人の目には笑った顔のように見えるからです。
何も隠さない位置です
時計メーカーの名前やロゴは、たいてい12時の下あたりに入っています。針が10と2の方向に開いていればロゴの上を横切らず、むしろ両側からロゴを囲んで額縁のように引き立てます。
日付窓は3時側に、小さな補助の文字盤は6時側にあることが多いのですが、10時10分ならそこも空いています。2本の針が左右ほぼ対称になり、時計の形が整って見えるのも利点です。針が重なって1本に見える12時ちょうどより、2本の針の形と長さを一目で見せやすいのです。
昔は8時20分でした
10時10分が最初から正解だったわけではありません。2017年に学術誌『フロンティアーズ・イン・サイコロジー』に載ったドイツの研究チームの論文は、昔の広告を調べると1920〜30年代には8時20分がよく使われていたと紹介しています。8時20分も左右対称でロゴを隠しませんが、針が下に垂れてしかめた口のように見えます。
その後、1950年代ごろから10時10分が広告の標準のように定着したといわれます。アメリカの時計メーカー、タイメックスは秒針まで合わせて10時9分36秒にしていることで知られています。有名人が亡くなった時刻を記念しているといううわさもありますが、実際の記録とは合わない話です。
笑顔の効果は本当にあるのでしょうか?
先ほどの2017年の研究では、参加者に同じ時計を10時10分、11時30分、8時20分に変えて見せました。10時10分の時計を見たときに「気分がよい」という点数が最も高く、買いたい気持ちも11時30分より強くなりました。参加者のほとんどは、針の時刻が違うことに気づいていませんでした。
ただし8時20分で点数が下がることはなく、2015年の別の研究では、表示された時刻によって時計の魅力や高級感の評価にほとんど差がありませんでした。ですから笑顔の効果はあるかもしれませんが大きくはない可能性があり、ロゴをよく見せるという実用的な理由のほうが確かな役割を果たしていると考えるのが無難です。今度時計売り場に行ったら、針が何時で止まっているか見てみてください。
広告の10時10分はロゴや日付窓を隠さない実用的な位置で、笑顔のように見える効果も加わります。
まとめ・参考メモ · Karim ほか、Frontiers in Psychology 2017「広告の時計はなぜ10時10分か」. 10時10分は11時30分より気分の点数と購入意向が高く、8時20分は差がなかった。2015年の別の研究(Psychology誌)は時刻による評価の差を見つけておらず、効果の大きさには議論がある。
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