第175号自然3分閲覧 116
発行 · 雑学書庫 別館
寒い日の白い息、南極ではなぜ見えにくいの?
息の白いものの正体、水滴ができるのに必要な粒、きれいな空気で起きること
寒い日に息が白く見えるのは、息の中の水蒸気が冷たい空気で冷やされて、とても小さな水滴に変わるからです。ところが、ずっと寒い南極では、息はかえってなかなか白くなりません。水滴ができるには、寒さのほかにもう一つ必要なものがあるからです。
白いのは水蒸気ではありません
息の白い部分を水蒸気と呼びがちですが、水蒸気は気体なので目には見えません。私たちが見ているのは、水蒸気が冷えてできたとても小さな水滴です。
肺から出た息は体温に近いほど温かく、水蒸気もたっぷり含んでいます。空気が含める水蒸気の量は温度で大きく変わり、1立方メートルあたり40℃では約50gですが、10℃では10gほどに減ります。温かい息が冷たい外の空気と混ざって急に冷えると、含みきれなくなった水蒸気が水滴に変わります。水滴一つはとても小さくても、数えきれないほど集まると光を四方に散らして白く見えます。雲や霧が白いのも同じ仕組みです。
水滴にはくっつく場所が必要です
水蒸気が余っても、ひとりでに水滴になるわけではありません。空気中を漂うとても小さな粒があって、そのまわりに水蒸気が集まって水滴になります。土ぼこり、海から飛んできた塩の粒、車の排気ガスから出た細かな粒子などです。
私たちが暮らす街の空気には、こうした粒がいつもたくさんあります。だから気温が少し下がっただけで、息はすぐ白く見えます。同じ寒さでも空気がとても乾いていると、余る水蒸気が少ないので、息はぼんやりしてすぐに消えます。
南極の空気はきれいすぎます
国立極地研究所の南極・北極科学館は、南極の昭和基地では氷点下の日でも息が白くならないと紹介しています。南極の空気はとてもきれいで、水滴の芯になる粒が少ないからです。地面は氷に覆われて土ぼこりが少なく、人も車もほとんどありません。
面白いことに、雪上車が通ると排気ガスの粒が一気に増え、そこで初めて息が白くなるそうです。ですから近所で白い息がよく見えるなら、寒くなったというしるしであると同時に、空気中にそれだけ小さな粒が漂っているというしるしでもあります。冷たい窓ガラスに息を吹きかけると白く曇るのも、冷えた息の水蒸気が水滴に変わったものです。
白い息は水蒸気ではなく小さな水滴で、寒さに加えて空気中の小さな粒があってこそ生まれます。
まとめ・参考メモ · 国立極地研究所 南極・北極科学館ブログ. 「2/27 今日の昭和基地」(2015-02-27):南極は空気がきれいで息が白くならず、雪上車の排気ガスが通ると白くなる。水蒸気量の数値は中谷宇吉郎 雪の科学館の説明で、湿度により異なる
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