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第225号科学3分閲覧 66

発行 · 雑学書庫 別館

月は爪が伸びるほどの速さで遠ざかっています

アポロの宇宙飛行士が月に置いてきた鏡のおかげで、月が1年に約3.8センチずつ遠ざかっているとわかりました

切り紙を重ねた夕暮れの風景。クリーム色の満月と、丸い天文台のドームから月へ伸びる細い光の筋

月は地球から毎年約3.8センチずつ遠ざかっています。アメリカ航空宇宙局(NASA)は、この速さを爪が伸びる速さにたとえています。どうやって測ったのかがさらに面白く、1969年にアポロ11号の宇宙飛行士が月面に立てた鏡の板にレーザーを当てて測りました。

月に立てた鏡の板

1969年7月20日、アポロ11号のアームストロングとオルドリンは、月の「静かの海」に一辺が約46センチの板を1枚立てました。この板にはガラスでできた小さな反射鏡が100個はめ込まれています。反射鏡は、どの方向から光が入っても、来た道をそのまま通して送り返します。

電気がいらない装置なので、今もきちんと使われています。アポロ14号と15号も、同じ種類の板をそれぞれ1枚ずつ置いてきました。アポロ15号の板には反射鏡が300個はめ込まれていて、返ってくる光がいちばん強くなります。

光が往復する2.5秒

地球の天文台からこの板をねらって短いレーザー光を撃つと、光が月まで行って戻ってくるのに平均で約2.5秒かかります。光の速さはわかっているので、かかった時間の半分に速さをかけると距離が出ます。1969年8月1日には、アメリカのリック天文台が初めてこの板に光を当て、戻ってくるのを確かめました。

今は装置が良くなり、地球と月の距離を数ミリ以内の精度で測れます。ただ、撃った光は月に届くころには幅が2キロを超えて広がるため、戻ってくる光の粒はごくわずかです。

遠ざかる理由は海水

何十年も積み重ねた測定から、月は毎年約3.8センチ、ひと月にすると約3ミリ遠ざかっていることがわかりました。原因は地球の海水です。月が引く力で海水が2か所ふくらみ、そのふくらみが月を軌道に沿って少しずつ前へ引っぱります。そのかわり、地球の自転はとてもゆっくり遅くなります。

月までの平均距離は約38万5千キロなので、3.8センチは空で月が小さく見えるほどの変化ではありません。とても長い年月をかけて積み重なる変化を教えてくれる数字です。月の地面も地球に引かれて伸び縮みするため、板の高さは1か月の間に最大で15センチほど上下します。

アポロが月に立てた鏡の板にレーザーを当てると、月は毎年約3.8センチずつ地球から遠ざかっているとわかります。

まとめ・参考メモ · NASA、NIST、JPL. 遠ざかる速さ約3.8センチと往復約2.5秒は、NASA・NIST・JPLの資料に従いました。測定の精度は観測所や時期によって異なります。

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